不動産投資 売却益の計算方法

(株)トラストバンク代表の冲中です。
不動産投資をされてる方で、意外にも売却益の計算方法が間違ってしまっている方が度々いらっしゃいます。
計算方法を知らないと、正確な収益シミュレーションができず、想定した利益を得られなくなってしまいます…。
今回は、不動産投資の売却益の計算方法から、かかる税金について解説してしますね。
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参考になれば幸いです。
売却益の計算方法
不動産を売却した際に得られた利益を、譲渡所得とも呼びます。
譲渡所得に対しては、「譲渡所得税」という税金がかかります。
譲渡所得税は、復興特別所得税を含む所得税と、住民税が含まれています。また、長期所得(5年以上不動産を保有する場合)と短期所得(5年以下で不動産を手放した場合)にわかれ、
→ 長期は税率が低い(約20%)
→ 短期は税率が高い(約40%)なります。
単純に、不動産が3000万円で売れたから、手元に3000万円が入るわけではないのです。
譲渡所得税がの計算式は、次のように決められています。
譲渡所得 = 不動産の売却価格 ー(不動産の取得費 + 売却にかかった費用)
不動産の取得費は、売却した不動産を購入したときにかかった購入代金などの費用に、各種諸々の費用が含まれます。
この計算式を見たときに、
「あれ?これって絶対にマイナスになるのでは?」
と感じた方もいるのではないでしょうか。売却価格よりも取得した時の方が、値段が高いからです。
赤字で示した不動産の取得費について、まずは詳しく説明していきます。
不動産の取得費に含まれる「減価償却費」
取得費で主な費用になるのが、購入した時の代金です。
仮に、8000万円で購入した物件が、3000万円で売約できたとしたら、
売却価格3000万円 ー 購入価格8000万円ですので、譲渡所得はマイナスになります。
買った金額は8000万円ですが、売るときには物件は経年劣化するので、8000万円の価値はないのです。ではいくらになるのか。その際に使う項目が「減価償却費」です。
POINT!
不動産の購入代金は、基本的に土地と建物を分けて計算します。
土地→購入価格
建物→購入額から減価償却費を引いた額
建物に関しては、「建物取得費」として考えましょう。
建物取得費 = 建物購入価格 ー 減価償却費相当額
になります。
土地は経年劣化しませんが、建物は経年劣化するので、購入したときと売却するときでは価値が下がって当然です。どのくらい価値が下がったのかは、毎年確定申告の際に申告する「減価償却費」で計上した分を、合計して引きます。

減価償却費は、定額法と定率法を使って計算されます。
(定額法の例)
定額法を使っての減価償却費は、次の式で算出されます。
減価償却費 = 建物の購入価格 × 償却率 × その年分において業務に使われた月数 ÷ 12


建物価格が5000万円の木造新築アパート(不動産投資用なら業務用)を購入した場合は、法定耐用年数(減価償却費を計上できる会計上の期間)は22年なので、償却率は0.046を使用して計算します。
減価償却費 = 5000万円 × 0.046 × 12ヶ月 ÷ 12 = 230万円
毎年230万円を22年間計上できます。(保有初年度、7月に購入した場合は半額になる)
購入から10年後に売却する場合には、それまでに計上した2300万円分を建物取得費から引かないといけなくなります。20年後なら、4600万円を引く必要があるので、不動産の取得費は400万円です。
つまり、減価償却費は、
◎毎年の確定申告では経費として計上できて、節税対策ができる。
▲売却時には、建物の価格から引くため、不動産の取得費は少なくなる。
2つの側面を持っていることを押さえておきましょう。
中古物件の減価償却費には注意は必要
どんな物件でも、減価償却できるわけではありません。「法定耐用年数」が決められていて、物件の構造により減価償却できる期間が異なってきます。
中古物件を購入した場合には注どうなるのでしょうか。
・ケース1 築25年の木造アパートを5000万円で購入した場合
法定耐用年数の22年を超えているため、減価償却費が計上できる期間は、次の計算式で求めます。
法定耐用年数 × 0.2 = その物件の耐用年数
つまり、22年 × 0.2 = 4.4 → 4年
これを減価償却費の計算式に当てはめると、
減価償却費 = 5000万円 × 0.25 × 12ヶ月 ÷ 12 = 1250万円
4年間は1250万円ずつ減価償却費として経費計上ができます。節税が可能です。しかし、5年目からは1250万円が計上できなくなるので、4年経過した後どうするかは売却するなどの対応が必要となります。4年後に売却した場合は、短期譲渡となり、譲渡所得にかかる税金も約40%と大きくなります。
・ケース2 築15年の木造アパートを5000万円で購入した場合
法定耐用年数の一部を経過しているので、
法定耐用年数 ー 経過年数 ー 経過年数 × 20% = 耐用年数 となります。
つまり、
22年 ー 15年 +(15年×20%)= 10年
これを減価償却費の式に当てはめると、
減価償却費 = 5000万円 × 0.100 × 12ヶ月 ÷ 12 = 500万円
10年間は500万円ずつ経費として計上できますが、11年目以降は経費に計上できる減価償却がなくなります。10年持ち続けて売却した場合に、不動産の取得金額は0となります。
中古物件は、減価償却費として節税対策には効果がありますが、売却には弱いです。
不動産の取得費にかかる諸費用

上の表に含まれるものは、不動産の取得費用に含むことができます。別の言い方をすれば、売却費から引くことができる項目です。
購入時にかかった諸費用がわかるように、請求書や領収書は大事に保管しておいてください。
売却にかかった費用とは

物件を良い状態にしたほうが売却しやすいです。そのためにかかった費用も、不動産の売却価格から引くことができます。
まとめ
譲渡所得がマイナスになった場合には、譲渡所得税はかかりません。
不動産投資は、売却するのか、それとも相続を繰り返しながら引き継いでいくのかといった出口戦略が鍵になります。購入前に将来不動産をどうするのか、知っておくのは大切なことです。
今回の投稿では、「譲渡所得」「減価償却」「法定耐用年数」など難しい言葉が多いですが、言葉の意味や仕組みを押さえれば大丈夫。記事を読み返して把握してくださいね。わからない場合には、お問い合わせいただければお答えします。
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