不動産投資でFIREはできるのか?

トラストバンク株式会社代表の冲中です。
「不動産投資でFIREできますか?」
よく聞かれる質問です。
今回は「不動産投資でFIREできるのか?」というテーマでお送りします。
累計250戸、家賃収入1.7億円を達成した実績と経験を基に、不動産投資で失敗しないための情報を発信しております。
参考になれば幸いです。
FIREとは?

FIRE(Financial Independence Retire Early)とは、経済的自立を達成し、早期退職を目指すライフスタイルのことを言います。資産形成をしながら40代・50代で退職し、その後は投資元本を維持して不労所得だけで生活することが目標です。従来の早期リタイヤとは異なり、ビジネスで成功したり遺産相続したりする必要はなく、サラリーマンや公務員の給与を元に、自分で資産を積み上げていくことで達成を目指します。
昨今は平均寿命が延び、人生にかかる費用が増えているため働く期間を長くして収入を増やす考え方もあります。FIREはその考え方とは逆で、できるだけ仕事をする期間を短くすることが前提です。
働き続けることを前提に考えている人からすると、
・早く仕事をやめると生きがいを失ってしまうのではないか
・老後資金が不足するのではないか
と不安に思うかもしれません。
そこで、
◎老後の生活費
◎その生活費の25倍となる資産金額
この2つを把握し、「4%ルール」を適用することでFIREの実現が可能となります。
FIREの「4%ルール」

「4%ルール」とは、年間支出の25倍の資産を築けば、それを4%ずつ切り崩しても30年間生活できるという考え方です。1998年にアメリカのトリニティ大学のグループによって発表されました。
毎年、投資元本の4%未満を生活費として切り崩していけば、30年以上が経過しても資産が尽きる可能性は非常に低いというものです。4%という数字は、アメリカの一般的な株価の成長率7%から、物価上昇率3%を引いて算出したもので、米国株式のS&P500の運用で得られる利益の範囲内で生活費を抑えることができれば、半永久的に資産の目減りを防ぐことができると言えます。
例えば、年間の生活費が300万円の場合、FIREの実現には7500万円の元手が必要となります。
7500万円 ー 300万円 = 7200万円
単純に計算しても、25年間は資産が尽きることはありません。しかし、残りの金額(この場合なら7200万円)はそのまま運用されるため、4.2%の年利で運用された場合、約300万円のプラスとなり、資産はほぼ目減りしないしません。(毎年4.2%の年利が保てるとは限らないので、減少の大きな年もあれば、少ない年もあります)
ここまで資産を大きくしておけば、仮に収入が途絶えたとしても「余裕のある資産+運用益」で安心して生活を送ることができるのです。
FIREのメリット、デメリット

FIREは、もともと欧米を中心に流行した考え方です。
昔の日本では、定年まで働き続けるのが当たり前で、早期リタイヤという考え方はほとんど馴染みがありませんでした。
しかし、近年では、年功序列・終身雇用の考え方が崩れ、転職することが普通となり、FIREもライフスタイルの1つとして注目されています。
FIREのメリットとして、次のような点が挙げられます。
◎資産のストックが大きいので、心の余裕ができる
◎雇用先といった、場所に縛られることがない
◎勤務時間が決められていないため、時間の制限もない
◎お金に関する知識が豊かになる
◎節約の知識がつき、無駄使いを抑えて出費を減らすことができる
自分で時間を決めることができるため、趣味やボランティア活動等、仕事以外を中心にした生活を送ることができます。もちろん、ずっと働かないでのはなく、我慢して仕事をするのではなく、やってみたい仕事に挑戦することも可能です。
FIREを実現させるためには、お金の知識や資産運用の経験が必要です。つまり、実現させる過程で勉強や実践を繰り返し、金融リテラシーを上げていく必要があります。
節約・節税・資産運用がうまくなれば、無駄な出費も減り、自ずと倹約した生活を送れるようになるのです。
一方で、次のようなデメリットもあります。
▲計画通りに進むとは限らない
▲実現するまでには時間がかかる
▲仕事が好きな人は、やりがいを失うことがある
▲再就職するには不利なことがある
投資信託や株式などの金融商品を利用して、一定の利回りを出すことは必ずしも簡単なことではありません。損失が出て、資産を失ってしまう可能性もあります。
病気やケガ、親の介護など、予想しない出費も出てくるでしょう。運用益は出るものの、支出も増えまかないきれなくなることも考えられます。
キャリアが止まってしまい、再就職の場合は不利になることだって考えられます。
このような事態に備えて、余裕を持った資産運用や退職後もキャリア形成をしておくことも重要です。
投資に絶対はなく、損失が出て資産が減る可能性がある点にも注意してください。
FIRE実現に向けて、必要な2ステップ

①FIRE後の生活費を想定し、必要資金を計算する
まずはFIRE後の生活費を計算し、準備すべき資金額を算出します。
リタイヤ後は、会社員と異なる点に注意が必要です。
・社会保険料の種類や金額が変わる(健康保険や年金はどのように変わるのか、チェックが必要)
・家族のライフイベントを考慮(子どもの大学進学、結婚、介護、リフォームなど)
・生活費の変化
このような金額を見積もって、年間の生活費を計算します。その金額を25倍した金額が、FIRE実現のために必要な金額になります。
②投資を始める
FIRE実現に向けて必要な金額を算出したら、その金額を準備できるように投資を開始します。
投資は早ければ早いほど、複利の効果を発揮します。ですので、少しでも早く投資を始めるのが良いでしょう。
投資には株式や投資信託、不動産など様々な種類があり、リターンやリスクは、投資の種類ごとに異なります。過度なリスクを取らないように分散投資することがポイントになります。
不動産投資とFIRE
不動産投資は、FIREとの相性が良いです。なぜなら、長期で安定した家賃収入が得られるため、その一部を株式投資に回し、複利の効果を得られやすいためです。
不動産投資のメリット・デメリットを紹介すると、
◎家賃収入が安定している
◎株式ほど価格の変動が激しくない
◎借り入れを活用できる
▲空室リスクが有る(家賃収入が減る可能性)
▲管理や維持費がかかる
▲すぐに現金化できない(流動性が低い)
メリットをより活かすために、不動産選びでは次の点を重要視することが大切です。
・キャッシュフロー重視の物件を選ぶ
・適切なローンを組む(金利・返済計画)
・管理を外部委託する(手間を減らし、自由な時間を確保する)
不動産事業におけるキャッシュフローは、一番重視してほしい項目です。また、物件の管理は信頼できる管理会社にまかせ、時間を確保することもFIREにとって重要な点になります。「生命保険の代わり」「キャピタルゲイン(売却益)で投資分をカバーする」といった意見もありますが、毎月返済のために手出しがある区分マンションの投資や、いつ売れるかわからず、固定資産税に悩む不動産所有では、精神的にまいってしまいます。
不動産投資は、FIREには欠かせない資産運用ですが、中古であろうと新築であろうとキャッシュフローを生む物件、キャッシュフローを圧迫しないローンや返済計画が鍵を握るのです。
仮に、75歳と高齢になって仕事ができない=給与収入や事業売上が出せないとなっても、不動産収入があれば「蓄え+年金+不動産収入」と経済的な安心材料が増えます。つまり、不動産投資は、FIREするための資金を調達する手段にもなりますし、収入が途絶えた場合の保険のような役割も果たしてくれるのです。
まとめ
今回は、「不動産投資でFIREはできるのか?」という内容でお伝えしました。
①FIREに欠かせない4%ルールを把握する。
②老後の生活費を計算し、投資元本を算出する。
③できるだけ早く投資を始める
④不動産投資は、「収益が安定する」「資産運用の原資となる」「キャッシュフローが退職後の老後の保険となる」ため、FIREとの相性が良い。
この記事がみなさんの資産形成のヒントになれば幸いです。
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